現代の日本では,弁護士は比較的社会的地位の高い職業であるとされていますが,当初からそうであったわけではありません。弁護士の前身である代言人は,当時の裁判官や検察官と比べて大変低いものでした。
例えば,代言人が裁判所に入るときには守衛に名刺を渡して認印を押してもらい,裁判官に回してもらわなければならず,退出するときには,名刺に裁判官の認め印をもらって守衛に示さなければなりませんでした。
また,官吏に対し無礼なことをした場合は,裁判官によって弁護人を解任されることとなっていたため,刑事事件においてもうかつに検察官に抗議ができないという状態でした。
明治26年に弁護士法が制定され,代言人から弁護士へと名称が変わり,著名な弁護士が人権擁護活動や司法制度改革の提案等,様々な活動を行いました。それに伴い,弁護士の社会的地位も向上していきました。
しかし,昭和初期からの戦争体制の強化とともに,弁護士活動は次第に弱まっていきました。様々な治安法規が制定され,弁護士の権限が著しく制限されました。
それに伴い,再び弁護士が無用であるかのような風潮が支配的になっていったのです。
弁護士は,明治時代から存在した職業であるにも拘わらず,現在の社会的地位を得たのは戦後になってからでした。
そして,その社会的地位が認められたのは,多数の先人たちが継続的な努力を行ってきたからに他ならないのです。